性的な体罰指導校 02


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「それにお前は酷いというが、羞恥罰の中では下着貼り付けが一番軽い。なにしろ本人は表に出てこなくていいんだからな。裸の写真付きと言っても肩しか写っていない。こんなの罰の中にも入らんわ」

「これが一番軽い罰……」
    
 未華子が写真の方を向く。
 確かに乳首は写っていないし、裸の写真と呼べるものではないのかもしれない。
 しかし、乳房の形や大きさは、はっきりと把握できた。
 ここに貼りだされたことを考えても、この罰は新入生たちに下着や肌を見せることにあったことは間違いない。
 後輩と呼ぶ生徒たちに自分の肌を晒す屈辱は女でなければわからない。
 だが、この男子いわくこんな罰は罰の中に入らないという。

 未華子は一瞬目の前が真っ暗になるのを感じた。 
 彼女は学校からどんな暴力をふるわれても耐える自信はあった。
 それだけの覚悟を持ってここに来たからだ。
 でも性的な罰となれば話は別だった
 自分が知らない未知の領域を責められて耐えられる自信なんてあるはずがなかった。

「ところでお前、結構プロポーション良さそうだな」
 男子は彼女のセーラー服姿を上から下まで舐め回すように眺めながらそう言った。

「い、いやらしいわね。何処見ているのよ」
 未華子は手でさっと制服の上からも分かる豊かな胸の膨らみを隠す。
 そして批判じみた強い目つきで男子を睨みつけた。

「最初は生意気なガキと思っていたがこれはいい。今からお前の裸を見る日が楽しみだせ」

「何で私があんたなんかに裸を見せなければならな……あ」
 未華子の顔色が変わる。
 そう。ここはたかが課題を忘れただけで下着を晒す学校。
 大きな失敗をすれば、どんな恥ずかしい目に合わされるかわかったもんじゃない。

「そういうこと。なあに心配するな。お前は可愛いからきちんと高画質で俺のコレクションにいれてやるからさ」
 男は自身のケータイを開き、未華子に見せた。

「なっ」
 画像を見た未華子は思わず驚きの声を上げた。
 ケータイには全裸のままグラウンドを走らされている女子。全裸のまま廊下に立たされる女子などの姿が次々と写っていたからだ。

「同学年の裸は去年一年間でほぼコンプリートしたので次は新入生でもやろうかと思っていたんだよな」

「……誰にも見られたくない裸をそんなカード集めでもやるような感覚で。ふざけないで!!」
 未華子が右手が上がり、平手が男に迫るが『ガシ』の音とともにその動作は止まる。

「それをやったら駄目だ。さっき自分でそういってたじゃないか。問題は起こすなと」
 普段からは考えられないほどの真剣な顔をした聖一が必死に未華子の腕を掴み止めに入った。

「え、えぇ」
 未華子は意外そうな顔で聖一を見る。
 あの大人しい聖一がこんな行動を取るとは思っていなかったようだ。

「ははっ。惜しかったな。暴力行為を行った生徒は見せしめのため廊下で30分間正座だ。もちろん裸でな。覚えておくといい」
 男は口を曲げて陰惨な笑いを浮かべる。
 やはりあの挑発は裸にするための罠だったのだ。
 聖一は自分の咄嗟の行動が正しかったことを知りホッとする。

「だからなんで裸にならなければいけないのよ。見せしめなら正座だけでいいじゃない」
 未華子がそう言うと周りから笑い声が漏れる。
 その声は男子だけではなく女子からも聞こえ、よほど変なことを言ってると思われたようだ。

「わかっていないなぁ。衣服を剥ぎ取られた惨めな姿だからみんなわざわざ見に来るんだよ。ただ正座なんかしているところとか見ても面白くないだろ?」

「つまりあなた達も……あ、そうか。そういうことなのね」
 彼女はこの学校のシステムの一環を鑑みた気がした。
 ここの罰とは生徒たちの見せしめであり、生徒たちの娯楽でもあるのだ。
 罰を受けないものは罰を受けている者を笑い、罰を受けたものはより恥ずかしい罰を受けているものを笑う。負の連鎖。常に他人の不幸を見ることで心の平穏を保とうとする社会。

「そういうこと。まぁせいぜい問題を起こさないように頑張ることだな」
 ニヤニヤしながら男が喋る。

「……私はそんなやり方を認めない。もちろんわざわざ見に来るあなた達もこの学校も全て認めない」
 未華子が静かにそう宣言すると、周りの空気が変わった。
 今まで笑いながら見ていた他の二年生からも好奇な視線が未華子に向けられる。

「お前は今なにを言ってるのか理解していないだろう。お前が言ったことは学校への反逆だ」
「だから、なんだっていうのよ!」 
「ふむ。凄いな。やっぱお前は最高だ。もし奉仕生徒になったら俺が指導員になってやるよ」
「さっきからお前お前って失礼ね。私は高木。高木未華子よ」
「未華子か。悪くない。俺は大谷真司。覚えておけ」

「聖一、教室に行くわよ」
 もう我慢ならないと言わんばかりに未華子は聖一の手を掴み、強引に歩き出す。

「あ、」
 その時、聖一はようやく周りの異様な雰囲気に気がついた。
 なんとも言えない視線の山を。
 それは未華子が既にただの新入生とは見られていない証であった。

 

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