ライバルの女


トップに戻る






「心配するな。向こうからは見えない」
 男性医師はニコニコしながら言う。
 確かに竜也の位置からは夏子の陰毛の有様は見えない。
 むろん立って覗き込めば見えるが竜也はそれをやってはいけない気がした。
 今まで見逃してくれた医師もこの行動ばかりは見逃してくれない。 
 そんな予感がした。

(仕方がないか)
 竜也は夏子の陰毛を見るのは諦めてアナル検査の続きを始めた。
 彼女の穴の中は熱かった。直腸の体温が高いことは教科書でしっているが実際の熱さは想像を超えていた。
 そしてこの直腸の粘膜。まるで油のように滑らかだった。

「あっ、あぁァァ。そんなところを…ああ」
 指を根本まで入れながら、左手で下腹部を押して子宮の大きさを探る。
 すると夏子が切なさを含んだイロっぽい声を出す。

(感じているのかな)
 竜也は直腸越しに子宮の大きさを確かめながら彼女の割れ目を見た。
 性器は先ほど見た時の同じで変化はない。
 だが、中はどうなっているのだろうか。アナルをイジられた性的興奮でグジョグジョなのではないのか。

 彼の頭に一つの検査法が浮かぶ。
 それは子宮筋腫などの診断に使う、中指を直腸の中に入れ、人差し指は膣の中に挿入して行う腸診。
 検査法としてはポピュラーで難易度は高くない。
 直腸と膣を指で挟み込むようにして内性器を調べる簡単な検査。
 単純な検査ではあるが女性の膣へ直接指を入れるため患者の精神的な負担が大きかった。

(……)
 竜也は夏子の割れ目をじっと眺める
 もし膣に指を入れられたら夏子はどんな顔をするだろうか
 泣くだろうか。それとも文句を言うだろうか。
 そんなことを思いながら竜也は自分の右手を彼女の割れ目に伸ばそうとするが。

「ごほん」
 その時、医師がわざとらしい咳払いをした。
 医師は夏子の全裸を見つつ竜也の行動もしっかり監視しているようだった。

「え、えっと、直腸にシコリなどの異常は確認出来ず。子宮にも腫瘍感はなし。ジギタールをこれ以上続ける必要はないと判断します」
 竜也は急いで肛門から指を引き抜き、検査の終了を宣言した。
 今、何をしようとしたのか医師にはまるわかりだったはず。
 下手すれば退学もありえる。竜也はおそるおそる医師の返事を待ったが

「テストはここまで。2人とも帰ってよし」
 医師はなにも言わずただテストの終わりを告げた。
 どうやら見逃してくれたようだ。
 竜也がほっと息をつく傍らで、夏子がフラフラした動作でベッドから降りた。
 そして男2人に背を向ける形でパンツを履き直しブラをつけようと手を回す。

「うっ……」
 夏子の顔は竜也には見えない。
 だが、時折聞こえる涙声を抑える声が今の夏子の気持ちを表していた。


エピローグ

 2人は一緒に医師をお礼を言い部屋を出た。
 部屋から出ても2人には会話がなかった。
 恥ずかしいところを見られた夏子。復讐は遂げたが何かスッキリしない竜也。
 お互いの気まずさだけが周囲を覆う。

「竜也くん。一言いいかな」
 堪りかねたのか夏子が口を開く。

「いいよ。なんだい」
 竜也も覚悟はしていた。あれだけのことをしたんだから怒って当然だ。
 殴られても文句は言えない。どんな批判でも受け入れるつもりでいた。

「それじゃいうね。今日はごめんなさい」
 夏子は竜也の前で頭を深々と下げた

「え?」

「それだけ。じゃまた明日ね」
 言いたいことを言ってスッキリしたのか夏子はサバサバした顔で去っていく。
 竜也はみるみるうちに遠ざかっていく彼女の後ろ姿を唖然としながら眺めた。
 謝罪の意味はわからない。嫌っていたことを気づかなくてゴメンなのか。自分の診察のときに失敗したからゴメンなのか。
 本当のところはわからないがこれだけはわかる。
 成績だけではない。人間としても夏子には勝てないことを竜也は思い知らされた。
 夏子は自分が裸にされてアナルを弄られたことよりも自分の犯したと思うミスのほうが大事なのだ。
 むろん彼女だって女。恥ずかしさと屈辱で心が押しつぶされそうになっているのは間違いない。
 そんな女のプライドをも上回る医学への情熱。だからこそ彼女は女性の献体を見ても動じない。
 まさに医師になるべき生まれて来たような女性。

「本当になんであんな女が同期なんだよ」
 竜也は肩を落とす。
 計画通り夏子の裸を見てアナルを掘った。
 本人が知らない子宮の大きささえも暴いてやった。
 だが、彼に残されたものは復讐を終えた満足度なんかではない。
 夏子という壁の高さを改めて突きつけられた絶望感だけだった。

終わり

純愛てぃあーず【FANZA限定版】純愛てぃあーず【FANZA限定版】

for / 2015年01月25日
template by TIGA

inserted by FC2 system